ただ一匹の名犬

        

私の実家では、一年前まで犬を飼っていました。

私が昔に(いつだったかな??)、里親の交換会で買った犬でした。 平日の昼間なんで、親に「柴犬をもらってきて!」と頼んでもらっ てきたんです。親が「一匹だけ、動かないでじっと寂しそうにして いたから、もらってきてしまった。」と柴犬のような雑種の犬をも らってきました。「本物の柴犬なんて、交換会にいるわけがない。 」、と思っていたので、似ていると言う事で喜んで育て始めたので すが、動かなかったのも当然。なんと「くる病」という骨の曲がっ てしまう病気にかかっていたのです。ビタミンDの欠乏ですから、 きっと日の当たらないところで、育ったのでしょう。でも、それも 何とか治り、前足がX脚、後ろ足がO脚(反対だったかも)という 姿で、がんばって歩く姿は愛着が持てて、優しい性格で、近所の人 や友達に「犬の良い犬だね。」と言われた物です。

その犬が、去年の4月に亡くなってしまいました。ゴールデンウィ ークには、私は地元に帰るのですが、その1日前にです。
帰るという日に、親に電話してその話を聞きました。その時は「そ うか。」と思っただけだったんですが、地元について、駅から家に 帰るまでの車の中で、親から詳しい話を聞いてくうちに、実感がわ いてきて、目から涙があふれ出しました。やっぱり、家族の一員で したからね。「あと、1日待っててくれれば、顔見せてやれたのに ...。」と思うと、余計に悲しくなって...。
今は、動物は飼ってませんが、今度飼うときがあったら、同じ名前 を付けてやろうと思っています。私の心に残るただ一匹の名犬です から...。
きっと、あいつは、お空の上から私を見守っててくれてることでし ょう。などと思いつつ、毎日を過ごしているのです。

        

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